Misskeyを運営するうえで配慮する要素の一つとして、運営コンテンツのライセンスに関する項目がございます。
身近な物であればリアクションに使用される絵文字が挙げられますが、それだけでは無く、運営者が作成したお知らせで使用する画像や文章、動画コンテンツなども配慮が必要です。
より良い環境を提供したいという思いにより、製作者のコンテンツに対する配慮が欠けないよう心掛けていく必要がございます。
私の運営するサーバーは趣味用だから、特定のコミュニティー、ローカル向けだからといった状況であっても、ブラウザで不特定多数の方が登録し閲覧できる状態である以上ライセンスについて検討しなければならないことは変わりません。
とりわけMisskey
のように不特定多数のサーバーとコミュニケーションがとれるようなサービスにおいては、一度投稿したコンテンツが広く不特定多数の方々に提供されるといった点を十分に考慮する必要がございます。
趣味、ローカルだからといった理由で曖昧にせず、より慎重にライセンスや権利関係を検討し運用されることをお勧めします。
絵文字リアクションに関しては、自身のサーバーで利用されるのみならず、連合といった形で他のサーバーにもそのコンテンツが反映されます。
また、Misskeyと同様に絵文字を採用しているサービスであれば広くコンテンツが反映されることから、許諾の範囲といったものが絞り込めないといった事が現状です。
そのため、絵文字の登録にあたっては以下の点に留意してください。
絵文字として登録する際に、そのコンテンツを絵文字として利用する権限が自分にあるのか、また利用者が絵文字として利用することに対して権限を付与してよいのかといった部分を確認してください。
DiscordやSlack等の絵文字において広く配布されているサイトがあります。そういったサイトから絵文字を取り込むことは問題ございませんが、必ず著作者を把握し、利用して問題ないライセンスが付与されているかといった部分をご確認ください。
例えば、CC0やCC-BY、CC-BY-SA
などのクリエイティブコモンズライセンスが付与されている場合が多いですが、これらの表記が何を表しており、どういった部分まで権限を有せるのかといった部分を理解しておく必要があります。詳しくは公式サイトをご確認ください。
基本的に、企業や特定のイラストレーターが作成したイラストやロゴを絵文字にすることは難しいです。また、それらを模して作成した二次創作のコンテンツであっても一定の制限が設けられている可能性があるので、導入する際は慎重にご検討ください。
できる限り絵文字の選定においては以下のような条件を満たすものをご利用ください。
ここからは余談となるのですが、Misskeyの現行のシステムでは絵文字を他のサーバーからインポートする機能がございます。こちらの機能は数回の操作で欲しい絵文字が手に入る点から非常に便利な機能ではあるのですが、ライセンス関係を把握しないまま導入してしまうと法的なトラブルの要因となってしまいますのでお勧めできません。
また、許諾を得ていれば問題ないという指摘に関しましても、インポート元の原作者の情報があいまいな点がある面が存在していますので、できる限りこちらは利用なさらず、直接参照して許可を得るようにしてください。
仮に絵文字として利用することに関して特定の著作者から許可を得たとしても、必ずしもそれでライセンス条件が満たされたと判断するのは適切ではありません。
MisskeyやMastodonにおいて、絵文字を利用するということは自身のサーバーのみならず、相手側のサーバーに絵文字が反映されるといった点で注意が必要です。
したがって、許可をもらう場合は、他のサーバーに表示されることも含めて了承を得る必要があるでしょう。
また、インポート機能が存在するサービスである限り、それを通じて無断で導入されるリスクがある点は運営者自身が技術的に防げるものではないため、その点に関しましても了承して頂く必要がございます。
尚、ローカルのみでの利用許諾の場合、Misskeyでは「ローカルのみ」という絵文字の登録条件を付加することができます。限定的に利用許諾が出た場合は、こちらの条件を付けることによって、外部の投稿に該当する絵文字をつけられないようにできることから積極的に利用されることをお勧めします。
代表的に二点あげましたが、これでも十分ライセンス条件を考慮したとは言えません。また、状況によってライセンスが変化する場合もございますので、十分なライセンスの管理、動向の監視、利用制限などを徹底する必要があります。
Misskeyコンテンツ自体も同様にライセンスを遵守する必要がございます。
UIや背景、アイコンやエラー画面などもライセンスの範囲に含まれるものではございますので、十分に配慮して管理する必要がございます。
ライセンスに関しましては運営者のみならず利用者の方々にも配慮していただく必要がございます。
運営者が適切にライセンス管理を行い、利用者にもそれに従った配慮をして頂くために利用規約において明確な基準や制限等を設ける事が必要です。
主に以下の点に関しましては重点的に記載しておくようにしてください。
自身が運営するサービス(サーバー)で扱うコンテンツは、どういったライセンス管理をしており、どのようなコンテンツであれば投稿を認めないか、どういったコンテンツに関しては配慮が必要かといった部分を明記しておく必要があります。
こちらは著作者を保護するためのお約束となる他、ライセンスに反したコンテンツを消去、あるいは違反者に対するモデレーション活動を行う場合の明確な根拠となりますので詳細に記載されることをお勧めします。
先ほど挙げましたように、自身のサーバーから発信されたコンテンツが、外部の第三者の運営者によって取り込まれて利用されるといったケースが十分ございます。
また、運営者が徹底して管理していたとしても、利用者がライセンスに反するコンテンツを投稿してしまう場合がございます。
そういった場合に発生した権利侵害に関しましても、免責の記載がない限り法的責任を負う危険性を伴いますので、ライセンスに反する内容を投稿する事を控えて頂く記載と併せて、どこまでなら責任を負うのかといった部分も明確に記載しておく必要があります。
ライセンスに反したコンテンツにより権利侵害が発生した場合、著作者自身がその侵害状態をすぐに排除できるように異議申し立ての経路を整備しておく必要がございます。
こちらに関しては、直ちに、そして必ず連絡が付く連絡先を用意し、複雑でなく容易に申し立てができるように申し立て先を準備しておく必要がございます。
こちらに関してはMisskeyアカウントにDM(ダイレクトメール)を使って送付いただくのでは不十分です。できる限りメールアドレスや電話番号、お問い合わせフォームといった形で、どのサービスにも依存しない連絡先を付記されることをお勧めします。
あるコンテンツを絵文字として利用してよいかといった許諾を得る場合に著作者に対してお伝えするポイントを紹介します。
まず、どういった場所で絵文字が使用されるのかをご理解いただく事が必要です。
現在のMisskeyでは主にこのような仕様になっていると思われますので、こちらの内容に関して理解していただく必要がございます。
仮にライセンスの変更や権利侵害に該当する行為が発見された場合に、絵文字の利用を中断し消去することができる旨をお伝えしておくと、ライセンス違反時に関する救済がスムーズになります。
どこで問い合わせればよいのかも明確にお伝えしておくとよいでしょう。
導入された絵文字が、自身のサーバーでのみ利用可能にするのか、外部のサーバーでも利用可能にするのかも併せて許可を得るようにしておきましょう。
尚、上記において第三者に絵文字が取り込まれる可能性がある場合に関して了承が得られなかった場合は、こちらの許諾の如何せんに問わず絵文字を取り扱うことはできないものと考えたほうが宜しいです。
ライセンス保護に関しては以上に挙げた内容に留まりません。
技術的な限界があっても、最大限の配慮をもってコンテンツを管理するといった意思表示を著作者に行うことで著作者に対して安心感を与え適切な管理を行うお約束を契約時に行うことができます。
自身の運営するサーバーの公式サイトや案内ページで、利用しているコンテンツのライセンスを明確に明記しておく必要があります。
なお、他のサーバーのライセンスでMisskey上で問題されていないと判明しても、それは該当するサーバーと著作者が結んだ契約に基づいてのものなので、自身のサーバーで使ってよいといった判断を行うのは不適切です。
必ず自身の責任において管理するよう、直接ライセンスを確認、交渉を行ってください。
ライセンスの管理やコンテンツの扱いなど、厳格に考えると大変なことが多いですが、これらを適切に管理することは、作った人も使う人も誰も傷つけることなく利用できる環境を提供することにつながるので、前向きに、そして厳格に管理されることをお勧めします。
商行為を伴う管理をされている運営者の方におかれましては、金銭的な媒介が行われている以上さらに慎重にライセンス管理を行う必要がございますので、できる限り法律の専門家の監修のもと運営されることをお勧めします。